牧師さんのノート10:
「上手に本を読める?PC君(1)」




 私は矢板ホーリネス教会の牧師、田中敏信です。
今回は、「上手に本を読める?PC君(1)」というタイトルで書きます。
「牧師さんのノート03」では、「パソコンが画面の文字を声で読む」という事を書きました。でも私のパソコンは、それだけではありません。本屋さんで買ってきた「難しい聖書の参考書」も、「朗読ボランティア」になって、読んでくれますよ。

 2年くらい前でしたか、「パソコンで本を読む」という文章を書いたものが、ハードディスクの中にありました。3回に分けて「牧師さんのノート」にしてみます。
2回目か3回目かには、写真や音声も加えられたらなあ・・と思っています。

  「パソコンで本を読む」

 現在、私のように目の見えない人達の中では、「パソコンで本を読む」という人が増えて来ました。
 印刷・製本された図書を、パソコンに接続されたイメージスキャナで読み取り「活字読み取りソフト」と呼ばれる種類のパソコンソフトを使って音声で読み上げさせる、という方法です。パソコンの進歩と普及によって、10年くらい前から可能になった、「新しい読書方」です。

 これまで私達が、印刷・製本された図書を読むには、幾つかの方法がありました。
 代表的な方法は、本の内容を点字になおして、「点訳本」として読む方法です。種類に限りはありますが、かなり多くの出版図書を、点訳本で購入することが出来ます。
 ボランティアの方々によって、「点訳・製本された図書」もかなり多く、最近ではパソコンを使って点字を編集し、パソコンに接続された点字プリンタによって、同じ点訳本が複数作製され、複数の読者が読むことが出来るようにもなりました。パソコンを使うことによって、間違えた点訳箇所を修正したり、ページの割付を変更する作業が簡単になり、出版された一般の本を、2〜3ヶ月後には、点字で読むことも可能になりました。

 もう一つの代表的な方法は、本の内容を朗読したものをテープに録音し、それを聞くという「録音図書による読書」です。「朗読図書」と呼ばれることもありますし、「音訳図書」と呼ばれることもあります。
 本の「朗読」には、内容や登場人物の状況を「ある程度再現するような芸術性」が求められるかもしれません。しかし「音訳」では、「図書の内容が正確に音声に訳されている」という一点だけが求められます。
 「私には、芸術性は無理ですが、正確さだけなら大丈夫です」ということで、一般の本の出版から1ヶ月も待たなくても、「音訳本」でベストセラーを手に入れることが出来ると聞いたことがあります。私も、音訳図書をかなり聞いています。中には、プロの朗読家の方かと思わされるような、正確で芸術的な「音訳・朗読本」に出会うことはしばしばです。

 さて、本題の「活字読み取りソフトによる読書」です。
 点訳図書も朗読・音訳図書も、一般の図書が出版されてから、「私達が読める形になるまでの時間」に時間差が出て来ます。よほど早くて1〜2週間は、待つ事になります。
 しかしパソコンを使って、直接本を読み上げさせると、書店で購入した図書の内容を、自宅のパソコンを使って、すぐに読むことが出来ます。
 活字読み取りソフトの中には、卓上型のイメージスキャナだけでなく、小型のペン型イメージスキャナを使うことが出来るものもあります。ノートパソコンとペン型スキャナを使えば、書店で本の内容を確認して、購入することも可能です。

 「読みたい本をすぐに、しかも自分で読むことが出来るようになった」これは、目の見えない私にとって、読書環境の大きな変化です。

(続く)

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